株式会社三菱総合研究所様
導入事例

全社DX基盤で業務効率化と組織改革を実現
― AI活用へと進化するMRIの取り組み

日本を代表するシンクタンクとして、常に時代の最先端を走り続ける株式会社三菱総合研究所(以下、MRI)は、長年にわたり、組織の成長による業務の複雑化と、分散したシステム運用が招く運用の非効率化という課題に直面していました。

法改正対応と業務標準化という経営課題を同時に解決するため、同社は既存のintra-mart基盤を全社DXの起点と位置づけ、業務改革とIT環境の再構築に踏み切ります。

本事例では、複雑化した業務構造から脱却し、DX基盤を通じて組織全体の「スピード」と「統制」を両立させたMRIの取り組みを紹介します。


<導入の背景>
成長の足かせになる複雑な業務プロセスとデータの壁

MRIでは、組織の成長スピードに社内システムが追いつかないという根深い課題を抱えていました。各組織や業務単位で個別にシステムを導入していたことで、情報が分散し、部門間の連携が困難な状況に陥っていたのです。

組織を横断して情報共有を行う際には、システムへの二重入力や確認作業が頻発し、非効率なコミュニケーションが常態化。こうした運用上の課題が、ビジネススピードを低下させる要因となっていました。

社内では、特に経営層がこの非効率な業務プロセスを深刻な問題として捉えていました。請求や承認などの基本的な手続きのために複数システムへログインしなければならない仕組みが、従業員の負担と業務効率の悪化につながっていました。さらに、プロジェクト単位でプロジェクトリーダー(PL)へ大きな権限を委譲する同社独自の文化や、部門ごとに存在する数多くのローカルルールが、業務標準化を阻む高い壁となっていたのです。

これらの要因は、重要データが各システムに分散・孤立する「データのサイロ化」を招き、全社的なデータ活用や迅速な経営判断を妨げる結果を生んでいました。

こうした状況の中、2019年には電子帳簿保存法やインボイス制度への対応が経営課題として浮上。人員の増強や既存システムの部分的な改修では限界があると判断したMRIは、業務プロセスの根本的な見直しと、データ活用を支えるDX基盤の構築へ向けて本格的に舵を切りました。


<導入の決め手>
intra-martをDX基盤へ ― 法改正対応と全社改革を両立する戦略的選択

20221月施行の電子帳簿保存法改正の対応期限が迫る中、MRIでは法改正への対応と事業成長を阻害する業務プロセスの改革という二つの経営課題を同時に解決する必要がありました。

同社はそれらを乗り越えるため、「迅速性」「柔軟性」「将来性」の3つを明確な判断軸として設定します。

第一の軸は、期限の定められた法改正に間に合わせるための迅速性。実績のあるローコード開発基盤を用いることで、システム開発のスピードを大幅に向上させることが可能でした。

第二の軸は、同社独自の複雑な業務ルールを再現するための柔軟性。パッケージ製品では対応が難しいプロジェクトリーダー(PL)への権限委譲や、部門ごとに異なる承認フローを正確にシステム化するには、自由度の高い構築基盤が求められていました。

そして、最終的な決め手となったのが将来性です。MRIは、すでに導入していたintra-mart基盤を単なるワークフロー管理ツールとしてではなく、全社のデータをつなぐ「DX基盤」へと拡張する戦略的判断を下しました。

これは、既存資産を最大限に活用しつつ、IT投資の最適化を図り、将来的なデータドリブン経営やAI活用まで見据えた極めて合理的な一手でした。


<導入後の成果>
DX基盤を活かした業務効率化と組織運営の見直し

新たに構築したDX基盤の導入は、MRIの期待を大きく上回る成果を生み出しました。これまで複数のシステムに分散していた申請・承認業務をワンストップ化したことで、従業員の負担を大幅に軽減。

法改正に伴い新たに発生するはずだった電子化対応などの業務コストも、システム側で吸収し、効率的かつ安定した運用を実現しました。

さらに、経営層が長年求めていたデータドリブン経営への第一歩を踏み出しました。これまで社内に点在していた購買や支払などのデータ資産がDX基盤上で一元化され、BIツールとの連携により経営指標をリアルタイムに可視化。これにより、データに基づく迅速かつ的確な意思決定を支援し、経営スピードの大幅な向上につながりました。

さらにこの変革は、単なるシステム導入にはとどまりません。

MRIでは、DX基盤の導入を契機に、全社の事務業務を集約して一元的に担う新組織「ミドルオフィス」を設立しました。

各部門に分散していた業務を整理し、共通のプロセスで運用することで、組織全体のガバナンスを強化。IT基盤と業務体制の両面を再構築することで、効率化と統制を兼ね備えた運営へと進化しました。

その結果、業務効率とガバナンスの両立が実現。事務業務の所管が一本化されたことで責任の所在が明確になり、分断されていた業務フローも一連の流れとして整理されました。

担当者が自分の業務内容や全体の流れをより深く理解できるようになり、業務効率化と品質向上の双方を達成する成果へと結びついています。


<今後期待すること>
AI活用と全社最適化への挑戦

今回のDX基盤構築は、MRIにとってゴールではなく、今後の発展に向けた新たな出発点となりました。

現在、基盤上に蓄積されたデータを「知の資産」として活用し、さらなる分析やAIの導入を進めているところです。

AIの本格活用として、過去の提案書や業務ナレッジを学習させることで、提案書の自動作成支援やFAQの自動応答など、より高度な業務効率化を目指しています。

これにより単なるコスト削減だけでなく、従業員が付加価値の高い業務に集中できる環境を整備し、組織全体の生産性向上と持続的成長を図ってまいります。

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